【基礎】自家消費型太陽光発電とは?埼玉県の導入事例から知る、工場に導入する“リアル”なメリットを紹介
更新日:2024年2月14日
自家消費型太陽光発電システムとは、屋根や敷地内に太陽光発電システムを設置し、発電した電気を建物の中で使用する設備です。
電力会社から購入する電気料金の削減など、様々な導入メリットがあります。キーワードは「高い電気を購入するより、安くてクリーンな電気を自家発電して使用する」です。
自家消費型太陽光発電 が注目されているワケ
電気は、「買う」時代から、自分たちで「創る」時代へ
その中で注目され始めたのが自家消費型太陽光発電です。太陽光発電の技術は産業用の高圧電力でもグリッドパリティをむかえ、 電力会社から購入する電力コストより、太陽光で自家発電した発電コストの方が低コストになりました。
昨今のエネルギー価格の高騰を鑑みると、今後電力会社の電気料金が安くなる可能性は低く、さらなる値上げ、高止まりが起きる可能性が高いです。企業様によっては、電気料金単価が昨年と比較し2倍になったというお話も聞いております。
安定的な事業継続を目的に、”経営判断”として自家消費型太陽光発電設備を導入する企業が増えています。
再エネ賦課金は増加傾向
電力会社から電気を購入する際には必ず「再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下再エネ賦課金)」を電気料金と一緒に支払わなければなりません。
高圧受電の場合、年間電気料金支出の約15%(※)が再エネ賦課金として徴収されていると言われています。 この再エネ賦課金単価は調達価格等算定委員会の意見を踏まえて、経済産業大臣により毎年決定されます。
再エネ賦課金単価は年々増加の傾向があり、研究機関の試算では2032年頃には約4.72円/kWhにまで単価が上昇してしまうという予測も出ています。
※電気料金単価により異なります。
自家消費型太陽光発電のメリット
❶電気料金の削減
増加傾向の再エネ賦課金単価、そして昨今のエネルギー価格の高騰を鑑みると、今後電力会社の電気料金が安くなる可能性は極めて低く、さらなる値上げが起きる可能性が高いです。
そうであれば「わざわざ高い電気を外部から購入するより、安くてクリーンな電気を自家発電して使用した」方が断然経済的と言えます。
また、小麦などの原材料が高騰している業界であればあるほど、せめて電気料金は削減したいというニーズが非常に強く、単に「電気代が浮いてお得!」という感覚よりも、安定的な事業継続を目的に、”経営判断”として自家消費型太陽光発電を導入する企業が増えています。
❷節税対策・補助金制度の活用
「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」という国内目標達成に向けて 主力電源となる太陽光発電に対しても様々な税制優遇措置や補助金制度などが施行されています。 これらの制度を積極的に活用することで、自家消費型太陽光発電システムの導入メリットをさらに最大化できます。
❸遮熱効果
屋根に太陽光パネルを敷き詰めると、その遮熱効果により建物内の温度上昇を抑えることができます。
太陽光パネルによる遮熱効果は科学的に実証されており、多くの導入企業で職場改善に一役買っています。夏場のエアコンの電気代削減もできつつ、従業員の方の働きやすさも向上します。
❹脱炭素経営
2020年10月、菅首相は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。以降、再生可能エネルギーや脱炭素というキーワードがさらに大きな注目を集めています。
これらは中小企業にはあまり関係ないと思われるかもしれませんが、昨今大手企業の中に、取引先にも再生可能エネルギー導入を求める企業が増えてきております。
加えて、金融機関からも投融資先に脱炭素経営への取り組みを求める動きが出てきております。脱炭素経営への取り組みはひと昔のような「加点要素(実施したら加点されるもの)」ではなく、「減点要素(やらないと減点されるもの)」という認識となっています。
脱炭素経営への取り組みは企業にとって「営業許可証」を得ることとも言えますし、その手段として発電時にCo2を排出しない自家消費型太陽光発電が注目されています。
「脱炭素経営チェックリスト」の資料ダウンロードはこちら。
埼玉の導入事例から見た”リアル”なメリット
ここまで、自家消費型太陽光発電の普遍的なメリットを紹介してきました。
ここからは”実際に自家消費型太陽光発電を導入された”お客様による、”生の声”を元にしたメリットをご紹介していきます。
釣具メーカー | マルキユー株式会社
「当社の事業は、自然がなければ成り立たない。その自然をどう、維持するか。」
創業112年。
“つれるエサづくり一筋”。日本を代表する釣具メーカー マルキユー株式会社は2022年11月、自家消費型太陽光発電を導入しました。
当時は太陽光発電の普及が始まって間もなかったため「耐用年数は?」「信ぴょう性は?」という疑問を解消し、稟議書を書くほどの温度感ではなく頓挫していました。
それから時が経ち、再び検討を始めた背景は、アルディージャビジネスクラブにおいて、岩崎食品工業さんが太陽光発電を導入されたと聞いたことでした。
その時は深く考えず「なるほど、そういう時代になりつつあるのか」と、ぼんやり捉えていましたね。
それから岩崎食品工業代表の神田さん、また御社の代表である恒石さんと話をしていく中で「この人たちは金儲けではなく、環境問題に対して前向き、かつ真剣に考えているな」と感じ、そうであればお願いしても問題ないなと思うようになりました。
【導入事例】日本を代表する釣具メーカー マルキユー株式会社が自家消費型太陽光発電を導入した理由とは?
マルキユー株式会社の自家消費型太陽光発電導入事例インタビューはこちらよりご覧くださいませ。
食品業界 | 株式会社岩崎食品工業
「電気代削減だけでなく遮熱効果による電気代削減と、工場内で働く従業員の方の環境改善に繋がる。と、恒電社さんから提案をもらった時は「よしやろう!」と思いましたね。」
1954年創業。埼玉の食品メーカー岩崎食品工業代表の神田氏は、自家消費型太陽光発電のメリットは下記だと話されました。
自家消費型太陽光発電のメリット
導入した結果、職場環境改善にも効果がありました。
太陽光パネル導入以前、弊社の建物は日当たりがよく、正直夏は暑すぎて皆行きたがらない部屋があるほどでした。加えて、部屋のドアを開けると熱気が他の部屋に入ることから「早く閉めて!」と飛び交うことが度々ありました。
太陽光パネルによる遮熱効果のおかげもあり、今はこういった声はなくなりました。再生可能エネルギーだけで工場が動き、コストカットもできつつ、従業員にも喜んで貰い、環境にも優しい。そして、そこで作られたうどんが美味しい!お客様にも喜んでもらえる!
こんな素敵なことはないなと思いました。
【導入事例】埼玉の食品メーカー岩崎食品工業が太陽光で作る”再生可能エネルギーを使った麺”
導入背景、また神田氏の考える”脱炭素経営”についてはこちらをご参照ください。
ジョイントメーカー | 株式会社昭和技研工業
「太陽光発電の導入を「職場環境の改善」に活かせないかと考えていました。現在、弊社の工場では空調設備が整っており、夏も冬も快適に仕事ができます。」
1966年創業のジョイントトップメーカーの株式会社昭和技研工業代表の岩井氏は、自家消費型太陽光発電のメリットは下記だと話されました。
自家消費型太陽光発電のメリット
━━━断熱効果について、太陽光の導入前後で違いは感じましたか?
だいぶ違いましたね。従業員からも「断熱効果があった!」と、喜びの声があったのは嬉しかったです。当初の導入理由は暑さ対策がメインでしたので。
ちなみに2011年当時、SDGs等の環境に関する言葉はありませんでしたし、FIT制度もありませんでした。電気を高値で買い取ってもらう気持ちもなかった。 当時会社が利益を出していたこともありましたし、太陽光パネルの導入は即時償却できるのでちょうどいいかと思いました。
【導入事例】埼玉のメーカーがソーラーカーポートを設置した理由は”脱炭素”と”人材採用”の合致
導入背景、また岩井氏が考える”ものづくり”における脱炭素の現状はこちらよりご覧いただけます。
精密加工メーカー | 株式会社サン精密化工研究所
「脱炭素や省エネ促進の方向に進んでいるなと実感がありますね。ここ半年から1年くらいで、スピード感が上がってきています。
ですのでこのままいくと、「環境への取り組みをしていないメーカーとの取引は出来ない」というようなことも発生するのではないかと感じています。」
埼玉で主に精密プラスチック機械部品の成形加工および販売を営む、株式会社サン精密化工研究所。省エネと脱炭素を目的に、自家消費型太陽光発電を導入しました。
シュミレーション以上の結果なので、非常に満足しています。
【導入事例】埼玉の精密加工メーカー|“高品質と電気代と脱炭素”の均衡を維持する裏側
株式会社サン精密化工研究所の自家消費型太陽光発電導入事例インタビューはこちらよりご覧くださいませ。
製造・加工メーカー | グローバル・コーティング株式会社
「御社に決めた理由ですが、とにかく「スピード」が速い。また、対応が非常に「丁寧」でした。
私も20年近くこの仕事をしてるので、最初の対応で大体お付き合いできそうかどうか判断できます。」
1977年創業のグローバル・コーティング株式会社。太陽光発電による売電のメリットが少ない今、追加導入を後押ししたのは「中小企業強化税制」と「自家消費型太陽光発電とSDGsとの関係」でした。
自家消費型太陽光発電のメリット
徐々にFIT制度の売電効果が薄くなり、メリットを感じられなくなっていました。そのため、太陽光発電システムの追加導入については正直、消極的でした。
ところが「中小企業強化税制」の内容を調べてみればみるほど、太陽光発電システムの追加導入が弊社にとって有利なことがわかったんです。 また、太陽光発電システムでどれだけ発電できるかは既設のシステムで実績があるので計算もしやすい。
FIT制度と異なる*自家消費型太陽光発電についての知見はなかったのですが、色々調べていくと「どうやら自家消費型太陽光発電はSDGsの活動として公表できるのでは?」と気づきました。
【導入事例】埼玉の製造・加工メーカーが自家消費型太陽光発電で目指すのは「現場主導のアクション」
導入背景、またエクアクション21に向けた活動内容はこちらよりご覧くださいませ。
会計事務所 | 真下公認会計事務所
「すごいです。電気代が非常に安くなりました。」
2023年に創業60年を迎える真下公認会計事務所。“ゼロエネルギーに近い事務所”をテーマにした新しい事務所に向け、自家消費型太陽光発電を導入しました。
自家消費型太陽光発電のメリット
すごいです。電気代が非常に安くなりました。
日射量が多い日は、ほとんど電気代をかけずに業務ができています。
季節によって異なりますが、旧事務所と電算ビルの二棟で一番安い月でも9万円、高い月で13万5千円ほど電気代がかかっていました。
しかし、現在の新事務所では売電を合わせると月数千円~1万数千円程度しか電気料金がかかっていません。
買電が月2〜3万円程度、売電で月2万円前後。故に差額の電気料金は月数千円~1万数千円程度となります。
【導入事例】埼玉の会計事務所が太陽光発電導入後に電気代を75%削減。”環境に優しく経済的なオフィス”とは?
環境、そしてお財布にも優しい事務所を建てた背景はこちらをご覧くださいませ。
建築業界 | 株式会社秀建
「知り合い企業さんとか、弊社に訪れて太陽光発電にご興味を持ったお客様がいれば、太陽光発電設備の導入のオススメをしています。「私達で出来ることは、私達でやろう。」を広げていきたいです。」
昭和61年創業。今年で36年目を迎える埼玉の建築業、株式会社秀建はオフィスに自家消費型太陽光発電設備を導入しました。
自家消費型太陽光発電のメリット
私が金融機関の方に「海外ではESGへの取り組みを行っている企業の方が、多少業績が落ちたとしても融資を受けやすいと噂で聞いてたが、実際に日本ではどうですか?」と尋ねたところ、「日本でも正にそうなっていきますよ!」というお話を聞いたことも導入をより具体的に進める上で大きな要因でした。
【導入事例】「SDGsで何をすべきか?」埼玉の建築業が自家消費型太陽光発電設備の導入で目指す取り組みとは。
SDGsへの取り組みが必須となっている建築業界。なかでも、先進的かつスピーディーに施策を進められている秀建様の事例はこちらよりご覧いただけます。
まとめ
■自家消費型太陽光発電が”注目”された理由は下記の2つ。
- 電気代が年々高騰し、電力会社から購入する電力コストよりも、太陽光で自家発電した発電コストの方が低コストになった為。
- カーボンニュートラル宣言をきっかけに、取引先や金融機関が企業に脱炭素経営を求めるようになったため。
■自家消費型太陽光発電のメリットは下記の4つ。
- 電気料金が削減できる。
- 節税対策・補助金制度が活用できる。
- 遮熱効果がある。
- 脱炭素経営を実現できる。
記事を書いた人