【生活必需品業界編】SDGs・脱炭素の取り組みまとめ | 結局、何をしていけばいいのか?

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2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという「カーボンニュートラル」の実現を目指すことを宣言しました。

日本では、カーボンニュートラルの実現のために、地域や各社での様々な取り組みや動きが見られてます。

この記事では、我々の身の回りに多く存在する歯ブラシ・シャンプー・紙などを扱う“生活必需品業界”に焦点を当てて、SDGs・脱炭素に向けて世界の企業は実際に「どのような取り組みをしているのか?」について調査しました。

サプライチェーンとは?

まず、生活必需品業界などの「製造業」の企業を知る上で、“サプライチェーン”の概念の理解は欠かせません。

サプライチェーンとは、自社での製造だけでなく、原材料の調達や輸送といった上流工程、さらに製品の輸送、使用、廃棄に至るまでの下流工程も含めた、製品供給に関する一連のプロセス全体を指します。

カーボンニュートラル達成において、サプライチェーン全体での取り組みの重要性は非常に高いです。

もし、あなたの会社の「取引先」が脱炭素に積極的である場合。

もしあなたの会社が取り組みに賛同して具体的なアクションを行わなかったとすると、サプライヤーや取引先とのビジネスの継続が困難になる可能性も出てきます。

例えば、2020年7月21日に公表された記事によれば、Appleは2030年までにサプライチェーンを100%カーボンニュートラルにすると約束しています。

太陽光発電システムの写真
引用:Apple、2030年までにサプライチェーンの 100%カーボンニュートラル達成を約束

この記事から読み取れるAppleのメッセージは「カーボンニュートラルへの取り組みを進めていない企業とは、将来的に取引を続けることが困難になる」という意味です。

Appleだけでなく、他の多くのグローバルメーカーでも同様の動きが見られており、カーボンニュートラルに取り組んでいない製造業にとって将来的に大きな「課題」となる可能性があります。

そして、企業がカーボンニュートラルを推進するにあたり、理解が必要な概念の一つが「スコープ」です。

スコープとは?

「スコープ」とは、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量を評価する際に、排出の場所によってスコープ1、スコープ2、スコープ3の3つに分類する方法です。

  • スコープ1:企業が直接的に排出する温室効果ガス(例:製造工程での排出)
  • スコープ2:企業が他者から供給された電気や熱の使用によって間接的に排出する温室効果ガス
  • スコープ3:企業の活動に関連する他者の排出による温室効果ガス(スコープ2を除く)

スコープの範囲は以下の図解をご覧ください。

スコープ3の図解

「取引先」が脱炭素化に取り組んでいる場合、あなたの会社が供給する原材料から発生した温室効果ガス排出量は、取引先にとって「スコープ3」に該当します。

取引先(例:Apple)がスコープ3を含めて脱炭素化に取り組んでいる場合は、あなたの会社に対しても脱炭素化を求めてくるか、またはあなたの会社の取り組みがなかなか進まない場合は、すでに脱炭素化を進めている別の企業(あなたの会社の競合)に取引を切り替える可能性も出てきます。

下記は、カーボンニュートラルへの取り組みが必須となるまでの流れです。

カーボンニュートラルへの取り組みが必須となるまでの流れ

1.まずは「大手企業」が脱炭素を進める
2.そこで、まずは着手しやすい「スコープ1・2」を進める 
3.だが、カーボンニュートラル達成のためにはいずれ「スコープ3」の脱炭素化も必要になる
4.そこで、大手企業は「取引先企業の脱炭素への取り組み状況」を確認する
5.取引先企業が脱炭素への取り組んでいない場合は、取り組むをように促すか、取り組まない場合は取引先を競合に変える
6.結果、大手・中小企業限らず、脱炭素化が必要な状況になる

たとえ優れた製品を製造していたとしても、そのエネルギー源がカーボンニュートラルに対応していなければ、取引が成り立たなくなる可能性があると言えます。

スコープ3からスコープ1の流れの図解

日本だけでなく、世界でもサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けた取り組みが必要となってきています。

本稿では世界的で先行した取り組みを行なっている企業がどのような取り組みを行なっているのか?をご紹介していきます。

事例紹介|COLGATE-PALMOLIVE

COLGATE-PALMOLIVEのロゴマーク

コルゲート・パーモリーブは、持続可能性に向けた取り組みを30項目も行っているアメリカの企業です。

主に、石けん、洗剤、歯磨き粉、 ペットフードなどの日常生活品を開発、製造、販売をしています。

コルゲート・パーモリーブは、他の企業と比べて持続可能性に向けた取り組みの数が圧倒的に多く、既に成果も出しているため、サスティナビリティを推進したい企業のお手本となる企業となっています。

それでは具体的にどのような取り組みを行なっているのかを見ていきましょう。

WHY?|1.そもそもなぜ、SDGs・脱炭素に取り組むのか?

WHY?|1.そもそもなぜ、SDGs・脱炭素に取り組むのか?の画像

人のサスティナビリティ

  • 従業員への手厚い支援
  • 従業員の健康とウェルネス 
  • 世界人権への取り組み
  • 多様性、公平性、包括性
  • 同一賃金
  • サプライヤーへの多様性
  • 環境の健康と安全
  • 責任ある調達
  • 手洗い教育
  • 口腔保健教育
  • ペットの保護
  • コミュニティ寄付

事業のサスティナビリティ 

  • 業績詳細 
  • 人が主導するイノベーション
  • 製品の持続可能性
  • 製品持続可能性プロファイルの改善
  • 安全で持続可能な成分の提供 
  • 持続可能な包装を提供
  • 手頃な価格の製品へのアクセスを提供
  • 成分情報
  • リサイクル可能なチューブ 

地球のサスティナビリティ

  • 森林破壊を起こさないための取り組み 
  • 環境管理
  • 気候への取り組み
  • 水環境の観測 
  • 廃棄物管理 
  • 消費者の廃棄物管理 
  • 持続可能な建物への取り組み
  • 製造の責任
  • 調達の責任

HOW?|SDGs・脱炭素に対しどのような取り組みをしているのか?

HOW?|SDGs・脱炭素に対しどのような取り組みをしているのか?を表す目次

01 | 目標

  • 気候変動に対する取り組みは、コルゲート・パーモリーブが発表した2025年のサスティナブル戦略の中核的なものとして位置づけられている。事業全体の経済的な成長を維持しつつ、カーボンニュートラルを達成していくことを目指している。
  • また、科学に基づく目標設定(SBT)や、パリ協定で目標として定められた地球の平均温度上昇を1.5Cに抑えるために、各機関と連携して様々な施策を実施していく。
  • 二酸化炭素の排出を削減し、バリューチェーンのあらゆる点で気候変動に対処していく。

02 | 2020年の進捗状況

  • スコープ1および2からの温室効果ガス(GHG)排出量を2002年と比較して、約38%を削減
  • 再生可能エネルギー源から得られる電力の割合は36%
  • 製造におけるエネルギー消費量が2002年と比較して37%減少
  • 27個のUSGreenBuildingCouncil(USGBC)LEED認定プロジェクトを完了
  • 2019年と比較してアウトバウンドロジスティクス(スコープ3)のGHG強度を3%削減

03 | 科学ベースのターゲット

SCIENCE BASED TARGETS のロゴ
  • コルゲートの気候戦略の根底にあるのは、科学に基づく目標への取り組み。スコープ1、2、および3に対するコルゲートの目標は、2020年にSBTに承認されている。
  • グローバル全体におけるスコープ1および2のGHG排出量を、2018年の基準年から2025年までに30%、2030年までに50%削減する。
  • 2030年までに、100%再生可能エネルギーでの事業運営を実施する。
  • 購入した製品およびサービスからの発生するスコープ3のGHG排出量を、2018年の基準年から2025年までに30%削減する。

04 | サプライチェーンにおける温室効果ガスのトラッキング

サプライチェーンの追跡画像
  • コルゲートはGHG排出量をトラッキングおよび削減する戦略の一環として、直接および間接のCO2排出量、ならびに直接的な亜酸化窒素、フッ化硫黄、HFCおよびPFC排出量も追跡

05 | サプライチェーンの関与

  • 原材料とパッケージの調達と輸送は、コルゲートの総二酸化炭素排出量の約9%を占めている。そのため、サプライヤーと直接協力してエネルギー効率を改善し、再生可能エネルギーの使用を増やすように働きかけている
  • 購入した商品やサービスからのGHG排出量を2018年のレベルと比較して2025年までに30%削減するという科学に基づく目標は、この取り組みを反映している

06 | カーボンニュートラル

すべてのコルゲートの工場、倉庫、およびオフィスがカーボンニュートラル達成に向けた役割分担をすることで、下記3つのターゲット達成を目指している

  1. 2010年と比較し、2025年までに製造時のエネルギー消費量を25%削減

  2. 2030年までにグローバルな事業のために100%再生可能電力を調達

3.2040年までにグローバルオペレーションでカーボンニュートラルの達成

07 | 再生可能エネルギー

事業全体で100%の再生可能電力を達成するために、再生可能エネルギー導入のマスタープランを作成。

この計画では、各拠点で再生可能エネルギーを活用するために第三者のエネルギー専門家からアドバイスを受けています。主に、下記3点に焦点を当てています。

  • オンサイト太陽光発電設備の導入
  • 再生可能エネルギー証明書の購入
  • 仮想電力購入契約(バーチャルPPA)の締結

08 | グリーン電力購入

  • 2019年、カンザスにある風力発電所から生成された23万MWhの Green-e認定風力発電再生可能エネルギー証明書を購入。このグリーン電力の購入は、米国環境保護庁のグリーン電力パートナーシップクラブによって認定されており、米国内でのグリーン電力購入量ランキングの59位にランクインしている。

WHAT?|より持続可能な包装を提供

また、コルゲート・パーモリーブの2025年のサスティナブル戦略は、以下のアクションを中心としています。

  • 不要なパッケージを排除
  • すべてのパッケージをリサイクル可能、再利用可能、または堆肥化可能に
  • 包装における新しい(未使用の)プラスチックの使用を3分の1に減らす
  • 梱包には少なくとも25%の使用済み再生プラスチックを使用
  • 当社の製品にラベルを付けて保護するために必要なパッケージの体積と重量を最小限に抑える

「*PVCを終了」

PVC終了した商品の画像

PVCを終了するというコミットメントに向けて努力を続けています。

2020年末の時点で、パッケージの99.7パーセントにPVCを使用する必要がなくなりました。

そして、2020年にはPVCの使用量を547トン削減し、PVC素材を使っていた部分を他の素材に変更しました。

※PVCとは?:ポリ塩化ビニル。日本ではよくビニールと呼称される

「プラスチックの削減」

プラスチックの削減している商品の写真

プラスチック廃棄物の排除に貢献するために、2025年はパッケージでの新しい(未使用の)プラスチックの使用量を、2019年と比較して3分の1に減らすことを目標としています。

この目標を達成するために、部門の枠を超えた協力を行い、革新的な新製品の開発や、プラスチックの重量の削減、リサイクルされた材料の使用していくことを目指しています。

「リサイクルされた材料を増やす」

リサイクルされたコンテンツの写真

2020年末の目標は、パッケージ(繊維ベース、プラスチック、金属、ガラスを含むすべての材料)のリサイクル品含有量を平均50%に増加させることです。

そして、2020年の年間パッケージ全体でのリサイクル品含有量は、年間平均で49%だったものが途中経過ですが52%を達成しました。

「重量と量を最小限に抑える」

重量と量を最小限に抑えている商品の写真

包装廃棄物を収集するためのイベントと、関係者と協力して消費者廃棄物の削減における地域のリサイクルシステムの継続的な改善に推進しています。

  • パッケージの最適化に取り組み、プラスチックの消費量を年間920トン削減
  • リサイクルコンテンツを用いたボトルの活用によって、年間390トンのプラスチック削減
  • キャップの重量を減らし、プラスチックの消費量を72トン削減

「逆自動販売機」

逆自動販売機の写真

買い物しているお客様に、リサイクル可能な材料を逆自動販売機に挿入してもらい、クーポン、電気代の割引、キャッシュバック、NGOへの寄付などの特典を提供しています。

【国内事例】|持続可能な“社会と会社”を創るために経営者がすべきこと。

株式会社岩崎食品工業 | 【導入事例】持続可能な”社会と会社”を創るために経営者がすべきこと。

恒電社のホームページでは、脱炭素、気候変動、SDGs対策としての企業の事例をご紹介しております。

埼玉の食品メーカー株式会社岩崎食品工業の神田氏はこのように語っています。

「まず、一歩。」

自社が世界を動かしているわけではないが、「小さな一歩につながっていく」という認識が重要だと思います。気候変動はあまりにも大きなテーマなので、弊社だけでは解決できません。それでも、まずは自分で第一歩進むことが大事です。

【導入事例】持続可能な”社会と会社”を創るために経営者がすべきこと。

是非、こちらをご覧ください。

まとめ

  • サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルが求められ、中小企業は脱炭素に取り組まなければ今後、大手企業と取引できなくなるリスクがある。
  • コルゲート・ハーモリーブは30に渡る持続可能性施策を展開。中には“逆自動販売機”といったユニークな形で消費者を巻き込んだ施策もある。
  • 再生可能エネルギーの使用量、プラスチック削減量、あらゆる製品でリサイクル素材を活用し、これらによる定量成果を常時観測している。

参考URL

記事を書いた人

齋藤玲奈
株式会社恒電社

齋藤玲奈

住宅メーカーでの営業職を経て、2023年に恒電社に入社。カスタマーサクセスチームの一員として、広報やマーケティングを担当している。CSチームでは唯一の女性で最年少。

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