太陽光発電設備の「工期」に影響を与える要因にはどのようなものがあるのか?

A. 建物の構造・補強の要否や行政・電力会社の手続き、資材の調達状況、施工規模・時期、さらにお客様の業務上の制約など、さまざまな要因が重なることで工期は変動します。

要約

多様な工期変動要因
建物の構造や補強の要否、行政手続きや電力会社との接続許可など、外部要素に加え、大規模工事や天候・繁忙期の影響も大きい。さらに停電を伴う作業日程を顧客の業務都合とすり合わせる必要があり、こうした要素が重なって工期が伸びるケースも珍しくない。結果的に設置完了時期には幅が生じる。

スムーズな調達を支える在庫管理とノウハウ
太陽光パネルやパワコンなどは都度発注するため、在庫や生産・輸送状況に左右されやすい。長納期品を社内で先行確保するほか、中国からの輸入経験や商社としてのノウハウを活かして戦略的に発注し、納期遅れを回避してコストと品質面も調整可能だ。これによりスムーズな工事進行を支えている。

解説者

蛎崎 泰祐
施工管理職

蛎崎 泰祐

新卒からSIerとしてIT業界を経験する。2018年に恒電社へ参画してからは事業部を横断して活躍し、エネルギーマネジメント事業部の立ち上げに貢献。現在は施工管理職としてシステム設計から、工程・安全・現場管理を一貫して担当している。徹底したリスク管理と持ち前の柔らかい人柄で、社内外を繋げ動かすハブとして活躍中。

インタビュアー

原澤陽
合同会社HARAFUJI

原澤陽

合同会社HARAFUJI・COO。マーケティングを中心に、企業の戦略および戦術支援事業に従事。
2022年から恒電社のマーケティングも担当し、電気や太陽光発電のことを、各関連分野のエキスパートに直接ヒアリングをしながら、できる限り分かりやすい表現と専門的な視点の両立を重視した情報発信に取り組んでいる。

太陽光発電設備の設置工期に影響を与える要因

———発注から設置完了まで3〜6か月と幅があるとのことですが、具体的にどのような要因で工期は変動するのでしょうか?

 工期に影響する主な要因としては、以下のようなものが挙げられます。ひとつひとつの要因が重なることで、実際の完了時期は変動していきます。

  • 建物の構造・状態:建物が太陽光発電に適しているか、屋根の補強が必要かなどによって、設計や施工工程が変わります。
  • 行政や電力会社の手続き期間:自治体の建築確認申請が必要な場合や、電力会社との接続許可手続きに時間がかかることがあります。
  • 資材調達の状況:太陽光パネルやパワーコンディショナなど、使用する機器の在庫状況や生産・輸送状況によっては納期が延びる場合があります。
  • 施工規模・施工時期:大規模な設置工事ほど工期は長期化しやすく、また天候や繁忙期(年度末など)の影響も受けやすいです。

また、自家消費型の太陽光発電設備の場合、お客様の業務と並行しながら工事を進める必要があります。

たとえば、停電作業をともなう日程は、工場やオフィスの稼働スケジュールに合わせる必要があります。「夏は冷房設備を止めることが不可能」「寒くなってからでないと工事できない」といったお客様の業務上のご事情により、着工タイミングが先送りになるケースもあります。

━━━ 発注から完了までのスケジュールは、実際どのように組み立てていくのでしょうか?

スケジュールはまず、材料が最短でいつ揃うのかを基準に組み立てを行います。たとえば、「必要な部材が2か月後にすべて納品される見込み」となれば、そのタイミングに合わせて着工できるよう、工事日程を調整していきます。

━━━ つまり、材料の調達スピードがスケジュールを左右するということですね?

その通りです。太陽光パネルやパワーコンディショナは恒電社の社内に在庫を持っているわけではなく、案件ごとに都度発注する形をとっています。

そのため、「この工事ではこの部材がこれくらい必要になりそうだ」と分かった段階で、取引先の電材商社に在庫状況や納品リードタイムを確認しています。

弊社の場合はスムーズに対応ができるように、営業担当がお客様との窓口となりつつ、CS(カスタマーサポート)チームが連携して部材調達や電力申請などを行っています。

設計図面の作成から受発注まで担当する専任チーム(カスタマーサポートチーム)

━━━ 資材の納期遅れを防ぎ、スムーズな調達を行うために、恒電社独自で取り組んでいることはありますか?

あります。資材の安定供給は工期全体に直結する重要なポイントですので、社内でも特に意識して取り組んでいる部分です。

まず、太陽光パネルやパワーコンディショナに関しては、「今発注した場合、どれくらいの納期がかかるのか」について、CSチームの担当者が常に情報収集を行い、最新の状況を把握するようにしています。

また、太陽光工事で必ず使用する機器の中には、キュービクル内に設置する制御機器など、一部で納期が1年以上かかるものもあります。そうした長納期の部材については、あらかじめ在庫分として事前に確保しておく体制を整えています。

━━━ 在庫管理のコントロールは難しそうですが、発注量のバランスはどのように決めているのでしょうか?

在庫数の決定については、これまでの施工実績や納期傾向をもとに、部内で相談しながら判断しています。

たとえば、「前回この部材は発注から納品まで10か月かかったから、今のうちに10か月分を確保しておこう」といったように、データだけではなく経験も活かした柔軟な対応を心がけています。

補足として、弊社のCSチームには、以前「KODENエナジーバンク」という商社で、中国をはじめとした海外からの仕入れ・輸入業務に携わっていたメンバーが在籍しています。そのため、商社時代に培った調達・交渉・物流のノウハウを活かし、戦略的かつスムーズな調達体制を構築できているのも、弊社の大きな強みです。

ですので、必要な時期に確実に製品をお届けできるだけでなく、コストや品質面でもより良い条件を整えやすいのが大きな強みです。

同様の取り組みをされている会社もあるかもしれませんが、商社での調達経験と施工会社としての実行力の両方を兼ね備えた体制は、業界の中でも珍しく、お客様にとっても大きな安心材料・メリットになると考えています。

この記事を書いた人

岩見啓明
株式会社恒電社

岩見啓明

クリエイター。恒電社では動画、記事、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告と幅広く施策を担当。個人では登録者数1万人超えのYouTubeチャンネルを運用した経験の他、SDGsの啓蒙活動で国連に表彰された経歴を持つ。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)、2025年に第二種電気工事士資格を取得。

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