中小企業の脱炭素経営チェックリスト | 脱炭素化に向けて抑えておくべき3つの観点とは?

投稿日:2023年1月30日
更新日:2023年10月3日
中小企業の脱炭素経営チェックリスト | 脱炭素化に向けて抑えておくべき3つの観点とは?

ニュースや新聞で日々見かけるキーワードの一つ、それが“脱炭素”。

社会全体として取り組まなければならないことは分かりますが、結局、企業は何をしたら良いのでしょうか?

今回、自家消費型太陽光発電の専門家である恒電社にて「中小企業の脱炭素経営チェックリスト」を作成しました。

これを元に、明日、自社は何から始めれば良いのか?アクションの第一歩として、ご参考ください。

要約

  • 本稿の目的は「中小企業の脱炭素経営を支援」すること
  • 結論、中小企業の脱炭素経営は「エネルギー」「金融」「サプライチェーン」の3つの観点から自社の状況を把握することが第一歩
  • 脱炭素経営を怠ることによる最大のリスクは、今後、大手企業と取引できなくなる可能性があること
↑まずはこちらをご覧ください。

中小企業の脱炭素経営は「結局、どうしていけば良いのか?」

本稿における“脱炭素経営”は「CO2排出・吸収の合算を“実質ゼロにしながらも、持続可能な経営を続けていくこと」だと定義します。

まず、中小企業が脱炭素に取り組まないことによる最大のリスクは「大手企業と取引できなくなる可能性があること」です。

“脱炭素”のニュースはよく見るものの、下記のような印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか?

「大手企業だけの話?」
「環境、未来といったマクロな話では…」
「話が大きすぎて、自社には関係ない気がするが…」

などなど、受け取り方は人それぞれ。ですが近い将来“どの企業にとっても脱炭素経営”が必須の条件となる可能性があります。

では、そもそも“脱炭素”とは何を目指しているのでしょうか?まずは、脱炭素が目指すゴールについて解説していきます。

脱炭素のゴールとは?

脱炭素のゴールは「カーボンニュートラル」です。

石炭等の化石燃料の使用を完全にゼロにすることは難しい。そこで世界的に現実的な範囲で脱炭素を行うために打ち出した概念が「カーボンニュートラル」です。

CO2排出量から吸収量を差し引いた合計量を「実質ゼロ」にした状態をカーボンニュートラルと言います。

この実質ゼロを目指すべく、企業は設備更新などによる「省エネ」や、太陽光発電等を活用した再生可能エネルギーの導入などの「創エネ」を進めているのが昨今の動きです。

カーボンニュートラル・脱炭素の仕組み

大企業だけの話では?

「実際は大企業のCO2排出量が多い。正直なところ中小企業は、まだ脱炭素に取り組まなくて良いのでは?」

このように思われた方も多いのではないでしょうか。

しかし、脱炭素経営は徐々に“やった方が良い”から“やらなくてはいけない”にトレンドが移ってきています。

どういうことでしょうか?

これを読み解くため、本稿では中小企業の脱炭素経営で抑えておくべき3つの観点から解説していきます。

中小企業が脱炭素経営において抑えておくべき3つの観点

  • エネルギー
  • 金融
  • サプライチェーン

本稿では、中小企業の脱炭素経営の肝となる「エネルギー」「金融」「サプライチェーン」の3つの観点を解説したのち、最後には「結局、中小企業はどうしていけば良いのか?」の疑問に対して、具体的な3ステップを紹介します。

「自社は何をしなければいけないのか?」を明確にしていくことで、脱炭素経営の具体的なアクションに繋げていきます。

中小企業の脱炭素経営3ステップ

それではまず、中小企業の脱炭素経営において前提となる「エネルギー」について解説していきましょう。

1.エネルギー

前述した通り、脱炭素経営のゴールは「CO2排出・吸収の合算を”実質ゼロ”にしながらも、”持続可能な経営”を続けていくこと」です。そこで、まずは下記の2点を把握していきます。

1.自社のCO2排出量
2.自社の電気料金

1点目の「CO2排出量」。そもそもどのように算出するのでしょうか?

CO2排出量の算出方法

CO2の排出量は経済統計などで用いられる「活動量(ガソリン·ガス·電気など)」に「排出係数」をかけて算出できます。

具体的には環境省のホームページで掲示がされており、「排出係数」の標準値も記載されています。ただし、日本では排出実態にあった係数で試算されています。

脱炭素経営 | CO2排出量の計算方法

排出係数とは「電力会社が電力を作り出す際にどれだけのCO2を排出したかを指し示す数値」。利用する電力会社により差があり、企業にとってはCO2排出量の削減に大きな影響のある部分です。

ポイントは、電力会社はこの排出係数を抑えるために再生可能エネルギー発電の利用や再生可能エネルギー発電による電力の固定価格買取制度を進めていることです。

脱炭素経営を進める上で、まずは自社が事業を通してどの程度CO2を排出しているのかを把握することが削減目標を設定する上でも大事となります。

電気料金の把握

CO2排出量が把握できたら次に、電気料金を把握していきましょう。

本稿のテーマは脱炭素“経営”であります。

企業が利益出すために取れる方法は大きく分けて「売上を伸ばすこと」または「経費を削減すること」のどちらかです。

現在、電気料金の急激な高騰によって、脱炭素化や再エネ設備の導入は「経費を削減する」という経済的なメリットを前提とした導入が加速化している現状があります。

燃料価格高騰の理由からも、今後電力会社の電気料金が安くなる可能性は低く、さらなる値上げが起きる可能性が高いといえます。

ならば「わざわざ高い電気を電力会社から購入するより、安くてクリーンな電気を自家発電して使用した」方が経済的です。

値上がりを続ける電気に対して、「自社が年間どの程度電気料金を支払っているのか?」「昨年と比べてどのくらい電気料金が上がっているのか?」を把握することが、今後“持続可能な経営”をしていく上でも非常に大切となります。

電力会社から購入する電気と自家消費型太陽光発電システムで発電した電気の電気代の違い

実際に、安定的な事業継続を目的に、“経営判断”として自家消費型太陽光発電を導入する企業が増えきています。

例えば、埼玉県蓮田市にある株式会社岩崎食品工業は、自家消費型太陽光発電の導入によって年間約250万円の電気代削減に成功しています。

※株式会社岩崎食品工業のインタビュー記事はこちらよりご覧くださいませ。

日本の法人電気料金は上がってきている

ちなみに….電気代高騰は様々な要因による結果ですが、中でも大きな要因は「輸入化石燃料が値上がりしたこと」。2011年の福島原発事故以降、原子力発電を稼働させにくい日本は火力発電の占めるウェイトが大きいです。

現在、火力発電の主力燃料である化石燃料の輸入価格が高騰しており、燃料費調整額として我々の電気料金に転嫁されているという実情があります。

電気代の急騰
企業の場合、この契約条件は秘密情報に該当するため、他社に開示できない。
よって、官公庁に開示義務がある公共施設の入札結果と、大手電力が自由化前から広く申し込みを受けている標準料金から実勢価格を把握。
参照:https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00001/00074/?P=2

エネルギーのまとめ

ここまでの話をまとめます。

脱炭素経営の第一歩として確認すべきは「CO2排出量」と「電気料金」の2点です。

自社が事業を通して排出しているCO2の量を把握すること、そして高騰する電気料金に対して対策をすることは脱炭素経営を進めていく上で大事な一歩となります。

続いて、さらに“経営”に影響を与える「金融」についてみていきましょう。

2.金融

「銀行は脱炭素で新境地に足を踏み入れることになる」

銀行は脱炭素で新境地に足を踏み入れることになる」そう語るのは、三菱UFJサステナブルビジネス部長の加藤氏。

脱炭素と銀行。

一体、どのような関係性があるのでしょうか?「金融」の観点で注目すべきは下記3点。

1.大手銀行の動き
2.地方銀行の動き
3.銀行の動きによる中小企業への関与

まずは、大手銀行がなぜここまで脱炭素に注目しているのかを紹介していきます。

大手銀行と日本政策投資銀行が100兆円投下

大手銀行が脱炭素に投資する理由は端的に言えば「ビジネスチャンス」のためと言えます。

世界的な潮流である脱炭素。

実際、国際エネルギー機関は2021年10月、脱炭素化に必要な投資額は年間約450兆円と発表。

こうした市場沸騰の商機を逃すまいと、日本の大手銀行、また政府系金融機関の日本政策投資銀行はサステナビリティファイナンスの目標額を2030年あたりで累計100兆円に拡大する見込みです。

脱炭素の潮流は、デジタル産業でアメリカや中国に決定的に遅れをとった日本の産業界にとって大きなチャンスなのです。

このような背景から、国内における脱炭素の潮流は大きく動いています。

脱炭素に取り組まないと、大手企業と取引できなくなる?

前述したメガバンクが脱炭素分野に資金を投下すると、結果的に下記の流れが起きる可能性が高いです。

1.メガバンクが脱炭素分野へ資金を投下する
2.これに応じ、大手企業を中心に脱炭素化が加速化する
3.大手企業が脱炭素を進める上で、“スコープ3”企業の脱炭素化の取り組みが重要となってくる
4.脱炭素化に取り組んでいる“スコープ3”企業を探す、または脱炭素化に取り組んでいる“スコープ3”企業に変える
5.中小企業も脱炭素化への取り組みが必要となる

故に、先々中小企業も脱炭素化をしなければ「大手と取引ができなくなる」というリスクがあります。

ここでポイントとなるのが地方銀行の動きです。

実は既に各地銀は脱炭素に向けた支援を進めています。その一つがサステナビリティ・リンク・ローン。

サスティナビリティ・リンク・ローンとは?

サステナビリティ・リンク・ローンの概要は、企業のSDGsやESGなどのサステナブルな活動に対して、第三者による公正な審査を経て実行される融資形態。

例えば、自家消費型太陽光発電の専門家である恒電社は、2022年3月に埼玉りそな銀行とサステナビリティ·リンク·ローンの契約を締結。

これにより脱炭素経営をさらに現実的なものとしています。

サスティナビリティ・リンク・ローンの流れ

サスティナビリティ・リンク・ローンについては別記事にて、埼玉りそな銀行サステナビリティ推進室長園田孝文氏より詳しい解説を頂いています。

ぜひ、ご覧ください。

このように、地方銀行における脱炭素の支援は進んでおり再エネ導入、ひいては脱炭素化に向けて金融面でのサポートが充実してきています。

さらに、政府からも中小企業への大きなバックアップがあります。

それが「即時償却」と「特別償却」。

即時償却・特別償却

「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」という国内目標の達成に向け、主力電源となる太陽光発電に対しても様々な税制優遇措置や補助金制度などが施行されています。

これらの制度を積極的に活用することで、自家消費型太陽光発電システムの導入メリットをさらに最大化することができます。

中書企業経営強化税制による即時償却

金融のまとめ

改めて、全体の流れを整理します。

1.メガバンクが脱炭素分野へ資金を投下する
2.これに応じ、大手企業を中心に脱炭素化が加速化する
3.大手企業が脱炭素を進める上で、“スコープ3”企業の脱炭素化の取り組みが重要となってくる
4.脱炭素化に取り組んでいる“スコープ3”企業を探す、に変える
5.中小企業も脱炭素化への取り組みが必要となる

大手企業が動き始めることで、大手企業と取引のある中小企業も必然的に脱炭素化に向けて動かなければならない状況が刻々と進んでいるのが、脱炭素経営の実情です。

ここまでエネルギー、金融と、脱炭素経営に重要な観点を2つ見てきました。最後に、ここまで度々あげてきた“スコープ3”とサプライチェーンの関係性について解説していきます。

3.サプライチェーン

そもそも、サプライチェーンとは?

そもそもサプライチェーンとは、自ら行う製品の製造等だけでなく、原材料を調達し輸送する上流側、製品等の輸送・使用・廃棄といった下流側も含めた、製品供給に関する一連の流れ全体を意味します。

スコープ3とサプライチェーンの関係性を解説する前に、まずはこのリリース記事から見てきます。

Apple、2030年までにサプライチェーンの100%

2020年7月21日のリリース記事で、Apple社は2030年までにサプライチェーンの100%カーボンニュートラル達成を約束しました。

温室効果ガスの排出でカーボンニュートラルを達成しているAppleが、次は、総合的なカーボンフットプリントをIPCC目標に20年前倒しでネットゼロを達成すると発表。

「さすがApple!常に革新的なことを進めるな…」と、感嘆の意味で捉えた方も多いのではないでしょうか。

これは素晴らしいことであると同時に、製造業にとっては“危機”になるかもしれません。

なぜなら、この発表は「カーボンニュートラルに取り組んでいない製造業とは、今後、取引できない。」と意味するためです。どういうことか?

ここで重要な概念となるのが「スコープ」の考え方。

スコープとは?

サプライチェーンの温室効果ガス排出量の評価にあたっては排出の場所の違いにより、スコープ1,2,3の3つにわけて評価します。

スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
スコープ2:他者から供給された電気・熱の使用に伴う間接排出
スコープ3:スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他者の排出)

図解で見てみましょう。

スコープの仕組み

上記の図を元に、例えば、自社の取引先が脱炭素化に取り組んでいる場合、取引先A社(=スコープ1)にとって自社はスコープ3となり、自社も脱炭素の取り組みが必要なるケースが生まれます。

つまり、Appleといった大手企業に部品等の供給を行う企業(=スコープ3)は、カーボンニュートラルに取り組んでいなければ、今後、彼らと取引することができません。

素晴らしい製品を作っても、そのエネルギー元がカーボンニュートラルに寄与していなければ、商売そのものができなくなってしまうのです。

サプライチェーンのまとめ

サプライチェーンによって起こるリスクの流れをまとめます。

  1. 大手企業が脱炭素を進めることを決定する
  2. まずはスコープ1と2において脱炭素化を進める
  3. 脱炭素目標の達成のためにはスコープ3の脱炭素化も必要となる
  4. 自社の取引先企業(スコープ3)の脱炭素状況を確認する
  5. 脱炭素ができてない場合、できるように進めるか、できない場合は取引先を変える
  6. 結果、大手企業・中小企業問わず、脱炭素化が必要な状況となる

このように脱炭素は今後の取引に大きく影響するテーマです。

では、脱炭素経営実施に向けて何をしていけば良いのか?ここからは、脱炭素経営実現に向けた3ステップを紹介していきます

【チェックリスト】中小企業の脱炭素経営3ステップ

中小企業の脱炭素経営3ステップ

  1. 脱炭素経営チェックリスト
  2. 整理「自社は何をすべき?」
  3. 再生可能エネルギー導入の検討

上記の3ステップを元に、脱炭素経営の下準備を始めます。まずは、ステップ1である「脱炭素経営チェックリスト」を見ていきます。

ステップ1 | 脱炭素経営チェックリスト

まずは、ここまでみてきた「エネルギー」「金融」「サプライチェーン」の3つの観点、それぞれを自社と照らし合わせてみます。

チェックリスト

  • 自社のCO2排出量は?
  • 自社の電気料金は?
  • 取引銀行のサスティナビリティ・リンク・ローンの取り組み状況は?
  • 自社は即時償却・特別償却が可能できるか?
  • 取引先は脱炭素に取り組んでいるのか?
  • スコープ3の企業と取引する可能性はあるか?
  • 同業界の競合他社はどのような脱炭素の取り組みをしているのか?

ステップ2 | 整理「自社は何をすべき?」

脱炭素経営する上でCO2排出量や電気代などの定量面を把握·対策することは重要です。

ですが、それだけでなく「その取り組みをどのように消費者に伝えていくのか」も脱炭素経営にとって非常に重要です。

先ほどのチェックポイントを抑えた後に「自社はどのような脱炭素経営を目指すべきか?」社内で考えをまとめる必要があります。

とは言え、参考例がなければ想像しにくいのも事実。

そこで、恒電社では既に脱炭素経営を開始している企業にインタビューを実施しました。なぜ、自家消費型太陽光発電を導入したのか?また、どのように脱炭素に向き合っているのか。

お客様の生の声を記載しています。詳しくはこちら

埼玉県の企業・法人向け太陽光発電導入事例集 | “脱炭素”に、どう向き合ってますか?

ステップ3 | 再生可能エネルギーの検討

チェックリストの穴埋め、自社の脱炭素経営方針の整理…ここまできて次に行うのは、いよいよ再エネの導入検討です。

「しかし、再エネの導入はどのような流れで行うべきだろうか?」

再エネの導入方法は多種多様ですが、今回、恒電社で行なっている自家消費型太陽光発電設置までの流れを参考までに紹介します。

自家消費型太陽光発電 | ご提案の流れ

まずはお客様のオフィス・工場に伺い、お客様のニーズをヒアリングした後に、設備等の確認を行います。どれくらいの太陽光パネルを載せることができるのか?どれくらい発電できそうなのか?など、事前にシミレーションが可能です。

気になる方は、お気軽にこちらよりご相談くださいませ。

まとめ

前述してきた通り、脱炭素化は“確実に”進んでいく。

しかし海外と比較し、日本国内における脱炭素経営の実例は少ない。

本稿をきっかけに、自社がどの程度脱炭素化に向けて動けているかを確認することで

「結局、何をすべきか」が見えてくると幸いである。

参考文献

  • 週刊ダイヤモンド2021年11月6日号 p.46「グリーンウォッシュに負けるな!」
  • 温室効果ガス削減への取り組みに欠かせないCO2排出量の計算方法 (https://earthene.com/media/69)
  • 環境省 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/calc)
  • これからの事業存続のために知っておきたい再生可能エネルギー活用のためのエネルギー(https://www.iges.or.jp/jp/publication_documents/pub/data/jp/11983/20220301_yougoshu_ver2.pdf)
  • 埼玉りそな銀行「株式会社恒電社へのサステナビリティ・リンク・ローンの契約締結について」(https://www.saitamaresona.co.jp/about/newsrelease/detail/20220331_2509.html)

記事を書いた人

原澤陽
株式会社恒電社

原澤陽

株式会社ギャプライズ、チーターデジタル株式会社にてBtoBビジネスの上流から下流まで全て経験。現在は、恒電社にてマーケティング全般を担当中。

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