太陽光発電のEPC事業とは?

A. 「Engineering(設計)」「Procurement(調達)」「Construction(建設)」を一貫して担う事業形態を指します。設計力・調達力・施工管理力を総合的に発揮し、お客様に安心と最適な発電設備を提供する仕組みです。

恒電社では、その後の“保守”まで含めて責任を持つことで、長期的な安心と安定稼働をお客様に提供する点が大きな特徴です。

要約

EPCの全体像:
太陽光発電におけるEPCとは「設計(Engineering)」「調達(Procurement)」「建設(Construction)」を一貫して担う事業を指し、単に建設だけを請け負う企業との差別化要素となっています。設計には高度な電気知識やシミュレーション能力が必要で、調達では品質・在庫・保証の管理、建設では納品から完成引き渡しまでを統括する包括的な役割を担います。

調達における専門性:
調達では単に資材を揃えるのではなく、商社ごとの在庫状況や製造・保管履歴を把握し、古い在庫品による保証消化リスクを回避する力が求められます。恒電社はかつて商社を運営していた経験から裏事情に精通しており、調達の判断を最適化できる強みがあります。CSチームが納期・数量を調整することで、安定した供給を確保しています。

建設と顧客対応:
建設は工事そのものだけでなく、搬入計画や工程管理、品質管理を含む「プロジェクト」として進められます。恒電社は週次で進捗報告と写真を共有し、お客様の不安を取り除く仕組みを重視。単に施工する業者にはできない丁寧な可視化対応を行い、EPC一貫体制の強みを発揮しています。さらに、導入後の保守まで一社で担うことがお客様の安心につながります。

解説者

蛎崎 泰祐
施工管理職

蛎崎 泰祐

新卒からSIerとしてIT業界を経験する。2018年に恒電社へ参画してからは事業部を横断して活躍し、エネルギーマネジメント事業部の立ち上げに貢献。現在は施工管理職としてシステム設計から、工程・安全・現場管理を一貫して担当している。徹底したリスク管理と持ち前の柔らかい人柄で、社内外を繋げ動かすハブとして活躍中。

インタビュアー

原澤耀
合同会社HARAFUJI

原澤耀

合同会社HARAFUJI・COO。マーケティングを中心に、企業の戦略および戦術支援事業に従事。
2022年から恒電社のマーケティングも担当し、電気や太陽光発電のことを、各関連分野のエキスパートに直接ヒアリングをしながら、できる限り分かりやすい表現と専門的な視点の両立を重視した情報発信に取り組んでいる。

太陽光発電設備業のEPCとは?

━━━そもそも、太陽光発電における「EPC」とは何でしょうか?

EPCとは「Engineering(設計)」「Procurement(調達)」「Construction(建設)」の3つを指し、それらを一貫して手がける事業のことです。

━━━太陽光発電設備を手がける企業の中にも、恒電社のように「EPC」を一貫している企業と、そうではない企業があるのでしょうか?

はい。たとえば「設計」だけを担当する企業や、「調達」のみを行う企業も存在します。

しかし、それは比較的少数派で、典型的なのは「建設」だけを請け負う企業です。

━━━そういった会社は、なぜ一部分、例えば設計のみしか担わないのでしょうか?

太陽光発電設備の設計には、そもそも電気に関する知識やさまざまな専門的スキルが求められますし、シミュレーションを行う能力やノウハウがなければ対応できません。

そのため、これまでは「対応可能な企業は限られていた」という表現が適切かと思います。

数年前までは、自家消費型太陽光発電のシミュレーションを提案できる企業はごくわずかでした。現在では、シミュレーションツールが多数登場しており、どの企業でもある程度は対応できるようになってきています。

EPCの「Engineering(設計)」とは?

━━━具体的に何ができると「私たちはエンジニアリング・設計ができます」と言い切れるのでしょうか?

シミュレーション設計から提案、申請までできることです。

その上で「良い設計ができます」と言い切るためには、単なる図面作成だけではなく、以下のような一連の業務を一貫して対応できることが求められます。

  • シミュレーションの実施:発電量や自家消費量のシミュレーション
  • 設計能力:太陽光発電設備や電気設備の設計
  • 提案力:上記シミュレーションや設計内容をもとに、お客様ごとの条件に応じた最適な提案
  • 許認可対応:設計内容に基づいた申請対応
    • 電力会社への届け出
    • 市区町村の役所への申請手続きなど

これらを一貫して対応できてはじめて、「良いエンジニアリング=設計ができる」と言える状態です。

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EPCの「Procurement(調達)」とは?

━━━Procurement(調達)とは何ですか?

太陽光パネルやパワーコンディショナーなど、太陽光発電設備で使用するすべての材料を調達する業務です。

例えば、太陽光パネルを固定するための金具には、ボルトやワッシャーなどが必要で、それぞれ必要な数が決まっています。それ以外にも、足りないものがあれば個別に調達します。

━━━何をもって「調達のスキルが優れている」と言えるのでしょうか?

各プロジェクトにおいて最適な形で調整・最適化する力があることです。

たとえば、品質面で言えば、ある商社からパワーコンディショナを1台発注すると、中国で製造され、日本の倉庫に1年以上保管されていた古い在庫品が届くことがあります。

その場合、「古いものが届く可能性があるから別の商社に変えよう」と判断するなど、商社ごとの在庫状況や価格、納期などを加味しながら、各プロジェクトに最も適した調達先を選定しています。

━━━最終的に「多分これは新しい」「これは古い」と推測して判断するのですか?

推測というより、経験値で判断します。実は、これは非常に重要な視点なんです。

なぜなら、多くの製品は製造時点から保証がスタートしてしまうからです。倉庫に長期間眠っていた古い製品が届くと、お客様にとっては購入前から保証期間が消化されている状態になります。それは避けなければなりません。

仮に古いものが届いた場合は、メーカーに対して保証期間延長の交渉をしますが、可能な限り新しい製品を調達できるよう、複数の商社さんと連携を図っています。

━━━とはいえ、太陽光発電設備の納期は契約上動かせないので、工夫が必要ではないでしょうか?

おっしゃる通りです。

商社さんが国内にどれだけ在庫を持っているかが納期に直結します。在庫があれば即出荷できますが、なければ中国から取り寄せる必要があります。例えば、中国の春節などのタイミング次第では大きく遅れることもあります。

そこで、弊社のカスタマーサポートチームが「いつまでに何枚必要か」「いつ出荷可能か」を日々調整しています。

━━━なぜ、そのような調整が可能なのでしょうか?

弊社は以前「KODENエナジーバンク」という、自社で輸入もできる商社を運営しており、商社や輸入の裏事情も熟知しています。そのため、現在の商社とのやりとりも非常にスムーズなんです。

そして「KODENエナジーバンク」で働いていたのが、現在CSチームのマネージャーを務める向井さんです。調達に関するプロフェッショナルなので、調達に関しては向井さんのお話をご参考ください。

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EPCの「Construction(建設)」とは?

━━━EPCにおける「C:コンストラクション(建設)」とは何でしょうか?

「Construction(建設)」は、調達の後工程すべてを含みます。

具体的には、納期や納品場所の調整、現場への搬入計画などです。例えば「この大きなトラックが道幅に入れるか」といった判断も含まれます。

定義としては、搬入までを「調達」とし、搬入後からが「建設」です。

また「建設」のゴールとしては、工事が完了し、完成図書などを含めた一式をお客様に引き渡すところまでです。

━━━「Construction(建設)」を俯瞰して捉えた時、恒電社として特に重視している点は何でしょうか?

太陽光発電設備の導入を「工事」としてではなく、「プロジェクト」という視点で見ている点です。

単なる施工管理というよりも、ITでいうところの「工程管理」や「品質管理」の意識に近いです。

━━━なぜ「工事」ではなく「プロジェクト」という意識を持たれているのでしょうか?

太陽光発電や電気工事の価値を考えると、お客様にとっては「最終的に発電できれば良い」ものなはずです。しかし実際には「本当に工事がちゃんと進んでいるのか?」といった不安を感じているお客様も多くいらっしゃいます。

その不安を工事中にきちんと取り除くことも、我々の大切な仕事の一部です。

まずは、計画している内容をお客様にきちんと説明・可視化することが重要。その上で、工事が始まったら毎週、進捗をまとめた報告書と写真を送って、進行状況をお伝えします。

━━━そのあたりが、まさに「Cだけでなく、EPCでなければできないこと」というわけですね。

「Construction(建設)」だけの業者であれば「Engineering(設計)」「Procurement(調達)」が伴わないため、こうした週次報告やお客様への丁寧な対応がそもそもできません。

だからこそ、EPCとして一貫して関わることに意味があります。

さらにお客様のことを考えると、EPCだけでなく、その先の「保守」が重要です。

なぜなら、お客様視点で考えたとき、いろいろな会社とやり取りするよりも、一社にまとめた方が安心できるからです。

記事を書いた人

岩見啓明
株式会社恒電社

岩見啓明

クリエイター。恒電社では動画、記事、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告と幅広く施策を担当。個人では登録者数1万人超えのYouTubeチャンネルを運用した経験の他、SDGsの啓蒙活動で国連に表彰された経歴を持つ。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)、2025年に第二種電気工事士資格を取得。

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