導入事例 株式会社昭和技研工業

【導入事例】「70点でもいいから、やろうよ。」“ものづくり”における脱炭素の現状

【導入事例】「70点でもいいから、やろうよ。」”ものづくり”における脱炭素の現状

サプライヤーが考える脱炭素、GX…そして、マーケティング

━━━前編では今までについてお聞きしました。ここから、未来の話を伺わせてください。製造業にとって脱炭素やGX(グリーントランスフォーメーション)は、事業の根幹を変えるかもしれません。これを踏まえて、御社の展望を教えてください。

GXと言われた時、すごく不安を感じました。前述の通り、弊社のお客様は温室効果ガス排出の大口事業者です。

脱炭素によってものづくりの仕組みがまるっきり変わるならば、もしかしたら我々の製品が不要になるかもしれません。非常に強い不安感があります、何かしなければなりません。

そこで弊社では最近、企画開発部門を新たに立ち上げました。ここで新たな製品の開発を始めるべく、動き出しています。

詳しくは話せませんが、弊社の製品の中に現在の使用用途とは別の用途で使える製品があります。この別用途にて新たな市場への参入を図り、事業として強くしていく意向です。

株式会社昭和技研 | 代表取締役 岩井氏
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━━━太陽光発電の導入は経済合理性や断熱といった機能的な話とは別に、設置していることをマーケティングに活用していく企業も多いです。このような面での社外発信は考えていますか?

社外発信はしていきます。恒電社さんにドローンで撮影してもらった動画を、自社サイトにも載せようか検討しています。

またお客様が温室効果ガスの大口排出事業者のため、常に神経をとがらせています。ただ実はまだ、我々サプライヤーへの温室効果ガス対策要請のプレッシャーはかかってきていません。

━━━プレッシャーがかかっていない中、御社は先進的な投資をしていますね。

先進的かどうかは分かりませんが…バランスをとりながらやっています。正直、車からエンジンがなくなるのは寂しい気持ちはあります。

そもそもなぜ日本人がものづくりが好きかというと、やっぱり車が好きで、油まみれになってでも車をいじるのが好きな人が昔は多かった。ものづくりの原点だと思いますが、今は減ってきていますよね。

例えば今の大学生は機械工学部にいっても、デジタルの領域に興味があるかと思います。「弊社のような中小企業で働いてくれる人はいなくなるのでは?」と、不安がある。

これから人材の奪い合いになるでしょう。優秀な人たちが働きたいと思う職場にしなければいけないと、本当に思います。

また図らずともウクライナの問題が起こり、エネルギー安保が議題にあがっています。ベストなエネルギーミックスとは何かが議論になっている。

「急激に脱炭素化を進め、製造業の何もかもを破壊してでも地球を守ろう」という考えには反対です。日本には良いものがたくさんあります。

日本の製造業を守りたい気持ちは強いです。だから、私の中ではバランスを見て動いています。弊社として、できることはお金をかけてやっています。

いきなり100点満点の脱炭素化はできない。まずはできる範囲で温室効果ガス削減に貢献すれば良いと思うんです。

株式会社昭和技研 | 代表取締役 岩井氏

いきなり100点の脱炭素はできない。70点でもいいから、やろう。

━━━ものづくり全体を見渡した時、脱炭素に関する現状の進度はどれくらいでしょうか?

難しい質問ですね。先ほど申し上げましたが、まずはできるところをコツコツと積み上げていくのが正しいのかなと。

答えになっていないかもしれませんが「とにかく70点でもいいから、やろうよ」と。できることをやろう。

今、世の中の流れは「100点じゃなく120点とれ」と言っているように見えます。そうすると、やる気が失なう人が出てきてしまう。それは違うなと。

弊社も太陽光パネルを載せていますが、全体消費電力の20%ほどしかまかなえていません。では、残りの80%はどうするのか?…難しい問題ですが、それでもできることをやり続けます。

━━━「70点でいいからやる」弊社でも取り入れるべき考え方だと思います。御社にて創業以来、重要視されている考え方はありますか?

一貫して大事にしてきたのは、“ものづくり”への意識です。

創業者の祖父は戦争に行き、彼は機械いじりが好きだったため戦地で「お前は生きて帰ってこい。生きて帰らないと戦車を直せる人がいなくなる。」と言われたそうです。

手に職を付けると強いもので、祖父は戦争に2回召集されましたが、2回とも生きて帰ってきました。
曰く、『お前は生きて帰ってこい』と。戦争で使う道具を巧みに修理する職人に、戦場で死なれたらお国の損失という訳です。
祖父は2回戦地にいき、2回とも帰ってきました。

社長ブログ | 株式会社昭和技研工業「『パール』の謎④」

戦後、せっかくの命だから日本の復興のために残された命を大事にしろってことだと思います。ものづくりを元に商売を始め、それが今につながっています。

なので、ものづくりの大切さみたいなものを将来に伝えていきたい気持ちは先代にもあっただろうし、私自身にもある。

ものづくりは人の採用が重要です。

私はキャリアとして、経理や総務、人材採用に従事してきました。モチベーションが高く、スキルがあって、やる気がある人。そういう人をいかに採用して、活躍できる職場を作れるかが私の仕事です。

私は開発ができない、ものづくりもできない、お客様を拡大する営業もできない。私としては、他の人にやってもらわないといけません。なので、良い人を採用したい気持ちは強いです。

“もの”はなんだかんだで人が作っている。機械が作る部分もありますが、結局は人が作っています。やはり最後は人です。働きやすい環境を作りたい。

━━━ありがとうございます。最後に、これから太陽光発電を導入される方に、伝えておきたいポイント等ありますか?

経済合理性だけで太陽光発電の導入可否を考えるのはもったいない。それだけではない、何か別の理由が必要です。

弊社が太陽光パネルを設置したのも、経済合理性に関する目的とは別に「断熱効果」、またカーポートによる「従業員満足度向上」の目的がありました。

そのため仮に経済効率で補えないところがあっても、太陽光発電を導入するモチベーションになります。経済合理性とは別の目的も探してみてはいかがでしょうか。

━━━本日は、貴重なお話を本当にありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。


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記事を書いた人

恒石陣汰
株式会社恒電社

恒石陣汰

前職にて、イスラエル発のWEBマーケティングツール「SimilarWeb」「DynamicYield」のセールス・カスタマーサクセスを担当。その後、日本における再生可能エネルギーの普及と、電力業界に大きな可能性を感じ、2020年に恒電社に入社。現在は、経営企画室長兼マーケティング責任者として従事。YouTubeなどを通じた、電力・エネルギー業界のマクロ的な情報提供をはじめ、導入事例記事では、インタビュアー・記事の執筆も行なっている。

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