導入事例 松本米穀精麦株式会社

【導入事例】松本米穀精麦株式会社様|埼玉県を代表する創業250年の老舗企業が、自家消費型太陽光発電を導入した理由とは?(食品・卸)

投稿日:2024年1月31日
更新日:2024年11月25日
松本米穀精麦株式会社 松本邦義様

【要約】高騰する電気料金への対策が導入背景

松本米穀精麦株式会社について:松本米穀精麦株式会社は、1772年に創業された老舗企業で、埼玉県熊谷市を拠点に事業を展開。米穀精麦をはじめ、飼料、鶏卵、小麦粉などの卸売業を手掛ける。地域の穀物流通拠点として機能し、250年の歴史を持ちながらも時代の変化に対応。経理の電算化や工場のロボット化、ECサイト運営など新たな取り組みを積極的に行い、品質と安定供給を最大の強みとしています。

自家消費型太陽光発電を導入した理由:松本米穀精麦株式会社は、高騰する電気料金への対策として、2023年8月に自家消費型太陽光発電設備を導入。製造コストの削減を目指し、FIT制度に依存しない形態を選択しました。行政の補助金案内をきっかけに検討を開始し、EPC業者の具体的かつ迅速な提案を評価して導入を決定。稼働開始後、発電状況はシミュレーション通りで、経済的メリットと環境負荷低減の両面で満足しています。

今後の展望:松本米穀精麦株式会社は、品質維持と安定供給を基軸に、SDGsやCO2削減など環境対応型の取り組みを推進。事業活動を通じて地域社会や環境へ貢献する姿勢を強化し、ステークホルダーへの信頼向上を目指しています。さらに、埼玉県の観光振興や魅力発信を積極的に行い、地域活性化に寄与することで、地元への恩返しを続けていく予定です。

食品卸売業 | 松本米穀精麦株式会社

創業250年。

埼玉県を代表する老舗企業、松本米穀精麦株式会社様は、2023年8月に自社工場の屋根に自家消費型太陽光発電設備を導入しました。

「太陽光発電を導入するのであれば、創った電気を自家消費して製造コストを下げていく形での導入が現実的だと考えていた」

そう語るのは、代表取締役社長松本邦義様。

自家消費型太陽光発電設備の導入に至った背景、またEPC業者を選定する上で考えたこと。

そして、今後“企業としてどのような会社を目指していくのか?”など、未来についてのお話もお伺いしました。

創業250年|歴史の長さは信頼の証

松本米穀精麦株式会社 松本邦義様

———御社の事業内容について教えてください。

松本米穀精麦株式会社は、埼玉県熊谷市にて1772年に創業し、私で8代目の社長となる会社です。

事業内容としては「米穀精麦」という社名の通り、穀物を基軸として、養鶏や養豚など向けの飼料のほか、鶏卵、米穀、小麦粉などの卸売業を行なっております。

明治時代に麦踏み・二毛作が確立したのが「熊谷」だったこともあり、熊谷は小麦粉の生産において聖地のような扱いを受けている場所です。

今でも米の裏作として小麦を作る農業が根付いている熊谷に拠点を構えて、穀物関連の流通のハブ的な役割を担っています。

また鶏卵については、製造過程の川上から川下まで全体をカバーしており、高い品質の商品を安定的に供給できることが弊社の強みです。

———ありがとうございます。御社の遍歴を見ると、ロボット化やECサイトなど、時代を一歩先読みして柔軟に経営をされている印象ですが、企業文化として何事も先進的に柔軟に取り組む文化があるのでしょうか?

会社沿革(一部抜粋)
・1979年に経理部門に電算機(USAC-820V)を導入。事務処理の効率化を図る。
・1984年に大型洗卵選別機を導入。工場のロボット化を推進する。
・1993年に環境コントロールシステム完備の大型養鶏場(15万羽収容)の松本ファーム有限会社の農場が完成。
・1996年には、源頼朝に関東一の剛の者と称えられた、熊谷の偉人、熊谷次郎直実公の名を冠した、ホームページ「NAOZANE」をオープン。インターネットショッピングを開始する。

引用:松本米穀精麦株式会社ホームページより(遍歴一部抜粋)

常に私たちの事業には「穀物」が関連するという共通点がありますが、時代と共に仕事の“内容”や商品を届けるまでの“アプローチ”は確かに進化させてきましたね。

当たり前のように取り組んできましたが、振り返ってみると時代と共に変化しつつ、新しいチャレンジを続けていくことが弊社の企業文化の一部と言えるかもしれないです。

松本米穀精麦株式会社 松本邦義様

———2006年に代表取締役社長に就任されたと伺いました。200年以上の歴史がある企業を継承することへのプレッシャーはありましたでしょうか?

良い意味で、大きなプレッシャーはありませんでした。

というのも、小さい頃からいつか自分がこの会社を継承するかもしれないという意識はずっと持っていましたので。

あとは「ブランド(会社の看板)を強く意識する必要がなかったこと」もプレッシャーが軽減された理由だと思います。

———どういうことでしょうか?

弊社の仕事は、あまり“表”に出るようなものではないからです。あくまで黒子なのです。

食料品や動物用の餌の包装をよく見ると弊社の名前が書かれていることもありますが、弊社はあくまで卸売業がメインです。商品をエンドユーザーに向けて直接的にブランディングや販売促進していくような業態ではありません。

もちろん、関わっている商品、そして松本米穀精麦株式会社という社名の認知度を高めていくことも大事ですが、卸売業として食品業界を支える我々が、何よりも大切にしなくてはいけないことは「高い品質の維持」と「安定的な供給」です。

ですので「伝統ある企業のブランド(看板)を自分の代で無下できない」というプレッシャーはあまりなく、「いかに良い品質の商品をお客様に届けるのか?」そして「良い品質の商品をどのように安定供給し続けることができるのか?」という至上命題に、最初の段階から集中することができました。

———つまり、販売促進も大事ですが、何よりも品質の維持と安定供給に力を入れてきたということですね。

おっしゃる通りです。

松本米穀精麦ネットストア
引用:松本米穀精麦ネットストア

変わらない「品質」を「維持」するために

———「品質管理」「安定供給」を実現していく上では、さまざまな変動要因があると思います。時には自社のみではコントロールが難しい要因もあると思いますが、そのような中でも「品質管理」「安定供給」の実現のために意識していることはありますでしょうか?

トラブルシューティングのスピードを迅速化することを徹底しています。

繰り返しになりますが、弊社の業態の特徴は「安定的」かつ「継続的」に商品を納品していくことです。

今回導入した自家消費型太陽光発電設備のように、設備を一括で納品し、その後メンテナンスしていくような商材とは性質が異なります。よって、細く、長く、継続的に、飽きずに、ブレずに続けていくことが大事です。

もちろん人間が関わる以上、ミスは起きます。

ですがミスが発生したら、いち早く原因を追求し解決する。

いかに早く通常運転に戻していけるかが、高い品質かつ安定した供給によって、お客様から信頼を得る上ではとても大事です。

———「品質」の観点で差別化を図っているポイントはありますでしょうか?

前提として「農産物」は、工業製品と比べて品質維持の難易度が高いと考えています。

農産物は生物的なものであり、収穫後も生物学的な変化が続くからです。

そういった取り扱いの難しい農産物の品質管理は、一朝一夕ではできません。

そのため、弊社は品質管理を最高水準に保つために適した最新技術や製品があれば、吟味をした上で、業界の中でもいち早く採用する様にしています。

また、情報伝達ツールをうまく活用して、データを現場サイドにコツコツと共有したり、データを活かした改善活動を地道に続けていますね。

やや話は逸れますが、品質と安定供給の大事さを再認識するきっかけとして、鳥インフルエンザが流行した今年前半、全国で鶏卵の極端な不足が起きたことが思い出されます。

当社もお客様への影響を最小限に抑えるようあらゆる手段を講じ、やっと難局を乗り切ったところですが、その間に各方面から「何とかならないか?」とお困りの声を受けました。

———松本様も卵を扱っていらっしゃいますよね?

はい。既存のお客様が最優先でしたので、お答えするのは難しいことでしたが、問い合わせ先の話を伺うと卵が食品関連産業の素材として多様な役割を担っていると再認識しました。

半導体不足の事例と似ていますが、一見関連の無さそうな業界にまで、その影響が連鎖するということも伺いました。

今改めて感じているのは、「いかに良い品質の商品をお客様に届けるのか」そして「良い品質の商品をどのように安定供給し続けるのか」という私たちが常に向き合ってきた至上命題は、これから益々その重要性を増してくるということです。

経営者として厳しい判断の連続でしたが、同時に多くの学びを得る機会でもありました。

歴史ある企業が、工場に自家消費型太陽光発電を導入した理由とは?

———貴重なお話ありがとうございます。常に時代と共に変化しつつ、新しいチャレンジを続けてこれられた御社が、自家消費型太陽光発電の導入を検討されたきっかけを教えてください。

太陽光発電については、数年前から知っていました。

ですが、当時はFIT制度を前提とした提案だったため、検討が進みませんでした。本業でさらに収益を上げていきたいという想いがありましたので。

加えて、弊社は電気の使用量が非常に多い会社です。製造コストにおける電気料金の占める割合が高い会社とも言い換えられます。

そのため、太陽光発電を導入するのであれば「創った電気を自家消費して製造コストを下げていく形での導入」が現実的だと当時から考えていました。

そこから数年経ち、2022年頃から製造コストに直結する「電気料金」をはじめとする、あらゆる原材料が大幅に高騰し始めました。

電気代や原材料の値上がりは、単に製造コストがアップしてしまうだけで、高騰した金額分が新しい付加価値を生むわけではありません。

製造コストが上がった分をお客様への販売価格に反映していくこと(適正価格にしていくこと)は地道に行っていますが、正直時間がかかります。

そういった苦悩があった中で、自社でできる対策があれば何でもしたい想いが強くありました。

特に、高騰する電気料金への対策は優先順位が高かったです。

ちょうどその頃に、行政の方から太陽光発電に関する補助金のご案内をいただいたこともあり、2022年の年末頃に自家消費型太陽光発電の検討を開始しました。

そして検討を進めるために、知人からご紹介いただいたEPC業者が、恒電社さんでしたね。

当初は、別の物件へ太陽光パネルを載せることを検討していましたが、立地条件や経済合理性の観点で効果検証をしてもらった結果、松本米穀精麦株式会社のGPセンターに設置することが効果的だとご判断を頂きました。

松本米穀精麦株式会社 GPセンターの自家消費型太陽光発電設備

———恒電社以外の会社とも商談されましたでしょうか?

はい。他の数社にも見積もり依頼をしました。

最終的に恒電社さんを選んだ理由としては、ご提案が具体的かつスピーディーで非常に「納得感」があったことです。

正直、初回に恒電社さんからご提案を受けた際は「私の想定よりも太陽光発電の効果が非常に高い、こんなにうまい話が本当にあるのか?」と思ったのは事実です。

ですが「春夏秋冬」「どの時間で」「どれほど発電ができて」「どれほどの経済的メリット・CO2削減効果をもたらすのか」を定量的な根拠を持って説明してくれたので、非常に信頼ができました。

我々のように、導入を検討する企業側からすると、太陽光発電の技術的な内容は分からないんですよ。

そのような中で「“経営者”が求めている判断材料」「“現場の設備担当者”が求めている情報」を的確かつスピーディーにご回答頂けたことは御社への信頼に大きくつながりました。

結果的に補助金に採択されませんでしたが、日頃から情報収集をしていく中で今後エネルギー価格はしばらく逓減しないことも見通して、補助金を待たずして導入することを決定しました。

参考|【解説】電気料金が高騰している理由について解説します。

———2023年8月から太陽光発電設備が稼働しておりますが、率直に発電状況はいかがでしょうか?

稼働して以降、発電状況が把握できるソフトウェアを毎日見るようにしていますが、シミュレーション通りに発電できており、非常に満足しています。

冒頭にも話しましたが、今年は色々と大変なことがありましたので、今年一番嬉しいかもしれないです…。

天候と発電量がリンクしているので、外を見ながら発電状況をソフトウェアで確認するのは楽しいですね。

稼働したばかりですが、導入して本当に良かったと思っていますし、今後にも期待が持てますよ。

———嬉しいお言葉、ありがとうございます。

リアルタイムに発電状況を確認するソフトウェア
リアルタイムに発電状況を確認するソフトウェア
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埼玉県を盛り上げる

———最後に貴社、そして松本様ご自身の展望を教えてください。

我々の事業は「自然ありき」の事業です。

世の中もSDGsを推進していく流れになってきていますが、弊社としても環境に向けた取り組みをさらに推進し、お客様以外のステイクホルダーでも我々の取り組みを理解していただけるようにホームページなどで積極的に発信していきたいと考えています。

今回の自家消費型太陽光発電の導入は「実利」だけでなく「CO2削減への取り組み」にも繋がっているので、そういった意味でも改めて導入して良かったなと思っています。

また個人としては、直近まで一般社団法人埼玉県物産観光協会の会長を務めたり、うどん県として香川県の後塵を拝する埼玉県のランクアップ活動を支援するなど、埼玉県を観光地へと盛り上げるべく活動も行ってきました。

こういった取り組みを行う背景には、お世話になった地元に恩返ししたい想いがあります。

埼玉県を観光地へと盛り上げていくために、まずは埼玉県民自身が埼玉県のことをもっと知って、もっと好きになることが大事だと思っていますので、今後も埼玉県、そして熊谷市の魅力を発信していけるように献身的に活動していきたい思います。

———同じ埼玉県の企業として埼玉を盛り上げていきたいです。本日は貴重なお話しありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

松本米穀精麦株式会社 松本邦義様

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インタビュアー・記事を書いた人

恒石陣汰
株式会社恒電社

恒石陣汰

前職にて、イスラエル発のWEBマーケティングツール「SimilarWeb」「DynamicYield」のセールス・カスタマーサクセスを担当。その後、日本における再生可能エネルギーの普及と、電力業界に大きな可能性を感じ、2020年に恒電社に入社。現在は、経営企画室長兼マーケティング責任者として従事。YouTubeなどを通じた、電力・エネルギー業界のマクロ的な情報提供をはじめ、導入事例記事では、インタビュアー・記事の執筆も行なっている。

クリエイティブ担当

岩見啓明
株式会社恒電社

岩見啓明

クリエイター。恒電社では動画、記事、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告と幅広く施策を担当。個人では登録者数1万人超えのYouTubeチャンネルを運用した経験の他、SDGsの啓蒙活動で国連に表彰された経歴も。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)を取得。

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