【導入事例】株式会社トレーダー様|ウクライナ情勢を起因に電気料金が大幅に高騰。打撃を受ける中、自家消費型太陽光発電を導入するに至った背景とは?
更新日:2024年5月7日
「リサイクル×エンターテイメント」。
関東圏を中心に、“エンターテイメント”リサイクルショップ『ぐるぐる大帝国』を6店舗運営する株式会社トレーダー様は、2023年8月に三郷店(埼玉県)の屋根に自家消費型太陽光発電設備を導入しました。
「全店舗で試算をすると、電気料金が年間約4,000万円上がってしまうほどのインパクトがありました」
「“もう太陽光発電設備を導入することしか、できることは残っていない”状況でした」
そう語るのは、店舗システム管理を務める江守様と、エリアマネージャー兼おもちゃ・トレカ事業部統括長の端山様。
自家消費型太陽光発電設備を導入するに至った背景、EPC業者を選定する上で考えたこと。
そして、今後“企業としてどのような会社を目指していくのか?”など、未来についてのお話も伺いました。
リサイクル事業に「エンターテイメント」を。
———まずは、御社の事業内容について教えてください。
端山様:
弊社は、“エンターテイメント”リサイクルショップ『ぐるぐる大帝国』の運営を手掛けており、現在は関東圏を中心に、6店舗を展開しております。
一般的に「リサイクル」というと、家電や家具などの生活用品を扱っている店舗が多いのですが、弊社は「何でも買います」をテーマに、本・CD・DVD・ゲーム・トレカ・ おもちゃ・古着・ブランド品・アウトドア・楽器・釣具など、趣味やエンターテイメント関連の商品を、一店舗で幅広く揃えた『お宝リサイクル』という事業を行っております。
営業は24時間365日おこなっており、夜型の生活の方や昼間にお子様を連れて来店されるご家族など、様々なお客様のニーズやライフスタイルにお応えするための営業体制も整えております。
———ありがとうございます。“エンターテイメント”リサイクルショップとは、具体的にどのようなことでしょうか?
江守様:
創業当時、世の中の人が「リサイクル」と聞いて真っ先に思い浮かぶものは、家具や家電などの「生活用品」のリサイクルでした。かつ、物を売るなら“質屋”というイメージも強かったです。
当時は、中古品を売ったり買ったりすることに、やや後ろめたさを感じて、隠れてリサイクルショップや質屋に行く人が多かったと思います。
そのような中、リサイクル業界で後発組であった弊社は、そういったリサイクルの持つイメージを「エンターテイメントの力」で打破しようと考えました。
具体的には、約1,000坪を超える大型の店舗に、趣味に関するありとあらゆる商品がところ狭しと並ぶ、“体感型のエンターテイメントショップ”を作ることで、お客様に「ぐるぐる大帝国に行くだけで楽しい!」「ぐるぐる大帝国に行けば、意外な発見がある!」と思っていただけるような店舗運営の実現に取り組んできました。
店舗に、UFOキャッチャーなどのゲームセンターコーナーが併設されているのもそれが理由ですね。
また、商品の売り場やディスプレイを見ていただくと分かる通り、ポップを手書きで作成したり、ディスプレイコーナーも自分達で作ったりしています。
そこには、弊社の経営方針である「人の魅力で勝負する」にも通ずる、人の知恵や温もりをお客様に感じていただきたい想いがあります。
そういった取り組みの結果、お客様一人あたりの滞在時間が長いという特徴があります。
———なるほど。昨今、メルカリなどのインターネットサービスの台頭も顕著ですが、率直にどのように捉えてらっしゃいますでしょうか?
端山様:
競合のように思われがちですが、むしろリサイクル文化を世の中に浸透させてくれた意味では非常にありがたいと思っています。
冒頭で述べた通り、今まで、特に女性や年配の方々は、中古品に対して抵抗感を持っていました。ですが、メルカリなどのサービスの台頭を経て、中古品に対するイメージがだいぶ変わってきたと感じています。
特にコロナ以降は、女性やファミリー層のお客様が来店されることが増えましたので。
———それは意外な回答ですね。
端山様:
あとは、コロナ禍を経て、世の中が「モノ消費」から「コト消費」にシフトしてきているとも感じています。
最近は何か欲しいものがあった時、ECサイトで欲しい商品を購入する人が増えました。ECサイトでの購買は「モノ消費」であり、目的買い(買うものを事前に決め、1回当たりに1商品しか買わない合理的な購買行動)であると言えます。
一方、コロナ禍を経て「コト消費」いわば、体験の消費を求めるお客様も増えてきたと感じています。
「当初目的としてなかったものでも、ついつい気になって、気づいたら手にしてしまっている」
「ふと手に取った商品が、あの時の思い出を想起させる」
「ぐるぐる大帝国に行くと楽しい発見がある」
そういった偶然の体験をいかに演出できるかが、我々のような店舗で商売をするサービスの醍醐味ではないでしょうか。それが「エンターテイメント」だと思います。
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デマンドも電気使用量も下がっている。しかし電気料金は約30%の高騰?
———貴重なお話ありがとうございます。エンターテイメントとリサイクルを掛け合わせて、さまざまな取り組みを続けてこられた御社が、自家消費型太陽光発電の導入を検討されたきっかけを教えてください。
江守様:
10年近く前から、デマンド監視装置を導入し、年間でのピークデマンドを超えないように、社内システムを醸成し、省エネ化・CO2削減に取り組んできました。
そういった中、2021年9月頃から「デマンドは下がっている」「電気使用量も減っている」にもかかわらず、「電気料金は高騰している」という事態が起きはじめました。
ウクライナ情勢の影響で、昨年までマイナスだった燃料費調整額が、プラスに転じたタイミングだったと思います。
毎月の電気料金が、一店舗あたり200万円ほどだったのが、ピーク時には260〜270万円ほどに高騰してしまいました。
全店舗で試算をすると、電気料金が年間約4,000万円上がってしまうほどのインパクトがありました。継続的にデマンド値も下げ続け、電気使用量も減らしてきたにも関わらずです。
江守様:
最も困ったのは、2022年5月にオープンした三郷店(今回太陽光発電を導入した店舗)で、新規の電気契約をしようとしたところ、どこの電力会社とも新規契約ができなかったことですね。
当時は輸入燃料費の高騰により新電力の倒産が相次ぎ、大手の電力会社ですら新規契約の受け入れを停止をしていたタイミングでした。
そして最終的には、東京電力パワーグリットと「最終保障供給」でしか契約できない状態となってしまったのです。
「最終保障供給契約」とは?
高圧以上の需要家がいずれの小売電気事業者との電気の需給契約が成立しない場合、電気最終保障供給約款に基づいて、法人向け標準料金メニューの約2割増しの料金で電気を供給する制度。
契約期間は1年以内だが、期間満了日前に他の事業者との契約が成立しない場合は、契約を更新することができる。平常時、最終保障供給料金は、標準メニューよりも割高であり、長期契約する企業は少ないと考えられていたが、燃料価格の上昇と電気料金の市場価格の増加により、最終保障供給料金の方が、市場価格よりも安くなる逆転現象が一時期発生した。
その後、2023年4月頃から政府の激変緩和対策が電気料金に反映されたこと、そして新規の電力契約ができ最終保障契約から脱することができたことで、ピーク時に比べて負担はやや軽減されました。
しかし、それでも市場連動型の契約であるため、まだ高止まりしている状況にあるといえます。
自家消費型太陽光発電を導入した率直な理由とは?
———そのような大変な状況の中、太陽光発電を具体的に検討された理由を教えてください。
江守様:
当時は「もう太陽光発電設備を導入することしか、できることは残っていない」状況でした。
というのも、以前より店舗のLED化を積極的に進めていましたし、消費電力の少ないエアコンに更新したり、デマンド監視装置を導入してデマンドのコントロールを行うなども対策してきました。
「省エネ」として出来ることは全てやっていましたので、次は「創エネ」ができる太陽光発電しか残っていない状況でしたね。
———太陽光発電を具体的に検討される上で重要視されたポイントはありますか?
大変な状況下での導入検討だったので、最も重要視したのは「経済合理性があるか?」という点ですね。あとは「補助金が取得できるか」も非常に重要視しておりました。
———他の数社と商談を進める中で、最終的に恒電社を選んでくださった理由を教えてください。
端山様:
正直にいうと、太陽光発電について持ってる知識は、インターネットで調べた基本情報くらいで、全然詳しくありませんでした。
そのような中、恒電社さんと商談を進めていくなかで、補助金を使いたいという我々のニーズを聞いていただいた上で「“蓄電池を導入した場合”のシュミレーション結果」と「“蓄電池を導入しなかった場合”のシュミレーション結果」両方の選択肢を与えてくださったことが非常に好印象でした。
おそらく恒電社さんにとっては「蓄電池あり」で提案を進めた方が、売上金額という点でメリットがあったかと思います。現に他社からは「蓄電池あり」の提案を受けました。
それでも、恒電社さんは、弊社の電気使用量をきちんと分析した上で「この電気使用量であれば、今は蓄電池は必要ないのでは?その方が、投資回収の観点でもメリットが大きいと思います」と親身になってご提案してくれました。
お互いがWIN-WINの関係となれるように商談を進めてくださったことが、最終的に御社を選んだ理由と言えますね。
江守様:
あとは、長らく大宮アルディージャ(日本の埼玉県さいたま市をホームタウンとする、日本プロサッカーリーグ[Jリーグ]に加盟するプロサッカークラブ)をスポンサードしているなど、埼玉県に密着して事業を伸ばされてきた点も好印象でしたね。
恒電社さんとお話しさせていただいた際、お話の背景に地域や地元を大切にしていらっしゃることが伝わってきました。
感覚的な話になりますが、創業当時から「地域貢献」を大切にしているトレーダーと、埼玉県に根を張って成長されてきた恒電社さんは、相性が良さそうだなと“直感”で思ったんです。
———嬉しいお言葉ありがとうございます。その後、施工からお引き渡し、そして実際の発電状況についての満足度は率直にいかがでしょうか?
江守様:
施工についても非常にスムーズに進めていただき、最後まで何の心配もありませんでした。
また営業担当の板橋さんは、施工期間中も本当にマメにご連絡をくださり、やり取りを全てメールの文面で見える化した上でご連絡を下さるので、非常に進めやすかったですね。
端山様:
実際の発電量についても、現時点でシミュレーション以上に発電できており、満足しておりますが、やはり年間を通して発電状況を見ていく必要があります。その点は定期的にソフトウェアを見ながら発電量を確認していきたいと思っています。
5つのE
———貴社の今後の方針について教えてください。
江守様:
トレーダーは創業当時から「5つのE」を大切にしております。
- Entertainment(楽しい)
- Exciting(わくわくする)
- Emotion(懐かしい・お宝発見)
- Ecology(地球にやさしい)
- Economy(安い)
今回の自家消費型太陽光発電の導入は「Ecology(地球にやさしい)」に関連しています。導入したことを積極的に外部発信していければと思っています。
また、昨今の求職者の方々は「企業としてどのようなSDGsの取り組みを行なっているのか?」という点に非常に注目をしていますので、新しくご入社される方々や求職者の方々にも弊社のSDGsの取り組みとして伝えていきたいですね。
今回の三郷店での太陽光発電の導入を皮切りに、今後オープンする新店舗(大和店/ 神奈川県)も含めて全店への波及を進めていく予定です。埼玉県が掲げる2030年までのCO2削減目標に少しでも貢献していきたいとも考えております。
———本日は貴重なお話しありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
導入事例
恒電社では、様々な自家消費型太陽光発電システムの導入事例もご紹介しております。
是非ご覧ください。
インタビュアー・記事を書いた人
クリエイティブ担当